F1活動を含む「2014 ホンダモータースポーツ活動計画発表会」リポート インディカーに挑む佐藤琢磨選手、GP2に挑む伊沢拓也選手が抱負を語る |
本田技研工業は2月7日、東京・青山の同社本社ビルで記者発表会を開催し、2014年のモータースポーツ参戦体制を発表した。
今シーズンのホンダは、世界ツーリングカー選手権(WTCC)、同社の契約ドライバーである伊沢拓也選手によるF1直下のシリーズで あるGP2への参戦、昨年同様のインディカー・シリーズへのエンジン供給といったグローバルなモータースポーツ活動はもちろんのこと、SUPER GT、スーパーフォーミュラ、全日本F3選手権などの国内モータースポーツにも昨年同様に参戦する。
発表会冒頭で挨拶に立った本田技研工業 代表取締役 社長執行役員の伊東孝伸氏は「2015年からの供給に向けて進めているF1用パワーユニットの開発は順調に進んでおり、栃木県さくら市に開設した新拠点で 開発を進めている。今後実戦に向けて開発を強化していく」と述べ、同社が2015年からF1のマクラーレンチームに供給を予定しているF1用パワーユニッ ト(エンジン+エネルギー回生システム)の開発が順調に進んでいることを強調した。
国内のモータースポーツシーンでは、SUPER GTおよびスーパーフォーミュラに、トロロッソやフォースインディアなどで活躍した元F1ドライバーのヴィタントニオ・リウッツィ選手がホンダドライバー として参戦することが明らかにされ、日本のファンの間でも知名度が高い元F1ドライバーという大型ドライバーの参戦は注目を集めそうだ。
「F1参戦の準備はオンスケジュールで進んでいる」と伊東社長
ホンダの伊東社長は「ホンダは創業以来、2輪、4輪で世界トップレベルのモータースポーツに参戦してきた。そうした時代はまだ会社が とても小さかったころで、モータースポーツに参戦して技術を磨くことは大きなチャレンジだった。そうした挑戦の中でお客様と夢を共有し、それを原動力にし て成長を遂げてきたという面がある。ホンダのスローガンでもある“The Power of Dreams”にはそうした意味が込められており、今年も多くのレースに参戦することで多くの夢をお客様にお届けしたい」と述べ、ホンダにとってモーター スポーツに参戦することの意義は常に挑戦しつづけることで、それをもって顧客と夢を共有していくことにあると述べた。
伊東社長は2輪、4輪の参戦概要をひと通り説明したあと、同社が2015年からパワーユニットの供給開始を予定しているF1について 触れ「2015年からの供給に向けて開発を進めるF1用パワーユニットの開発は順調に進んでおり、栃木県さくら市に開設した新拠点で開発を進めている。今 後実戦に向けて開発を強化していく」と述べ、F1向けのパワーユニットの開発が順調に進んでいると述べた。ホンダは、2015年からマクラーレン・レーシ ングとパートナーシップを組んだ形でのF1参戦を予定しており、その開発を進めている。現在は、2013年に佐倉市に開設した新拠点で開発が進められてい るほか、イギリスに開設した活動拠点でエンジンダイナモや組み立て設備などの準備が進められており、現在のところ、スケジュール通りに進んでいるという。
最後に伊東社長は「どのカテゴリーも競争は激しいが、すべてのカテゴリーで勝利を目指していく。高いハードルを設けて勝負することで、お客様に夢をお届けしていきたい」と述べ、参戦する全カテゴリーで勝負にこだわっていく姿勢を強調した。
2年連続の製造者部門チャンピオンと初のドライバータイトルを目指すWTCCは4台体制
2013年からフル参戦を開始し、フル参戦初年度に製造者部門のタイトルを獲得したWTCCには、引き続きシビック WTCCで参戦する。ただし、車名こそ同じシビック WTCCだが、WTCCは2014年からレギュレーションが大幅に変更されており、車体とエンジン(HR-412E)がまったく新しいものに変更される。 2013年までホンダはWTCCに3台体制(ワークス2台+サテライトチームのゼングーモータースポーツ)で参戦していたが、昨シーズンの3台はまったく 同様の体制でドライバーも全員留任しつつ、さらにサテライトチームの「プロチーム・レーシング」からもう1台が追加されて4台体制となり、このマシンをモ ロッコ出身のレーシングドライバーであるメディ・ベナーニ選手がドライブする。
●WTCC参戦体制
マシン | チーム名 | カーナンバー | ドライバー |
---|---|---|---|
シビック WTCC | カストロール・ホンダ・ワールド・ツーリングカー・チーム | 3 | ガブリエーレ・タルクィーニ |
18 | ティアゴ・モンテイロ | ||
ゼングー・モータースポーツ | 5 | ノルベルト・ミケルズ | |
プロチーム・レーシング | 25 | メディ・ベナーニ |
発表会には、ワークスチームとなるカストロール・ホンダ・ワールド・ツーリングカー・チームからガブリエーレ・タルクィーニ選手、 ティアゴ・モンテイロ選手の2人のドライバーが参加。昨シーズン獲得した製造者部門のタイトルに加えて、今年はドライバータイトルの獲得も目指すとした。 発表会後に行われた報道関係者向けの会見では、すでにスペインのアラゴンで初期テストが行われ、新型車のシェイクダウンが無事に終了したことが明らかにさ れた。
タルクィーニ選手は「WTCCは変化を必要としていた。3年前にもターボエンジンを導入したが、外観はほとんど変わっていなかった。 これまでのクルマはメーカーにとっては市販車のイメージそのままという部分で意味はあったと思うが、熱心なファンにはちょっと物足りなという印象はあった と思う。今度の新型車は非常にセクシーな外観をしており、シビックだけど“究極のシビック”みたいな外観で非常に気に入っている。きっとファンのみなさん にも気に入ってもらえると思う」と述べ、まだ公開されていないホンダのWTCC用新型車が非常にアグレッシブな外観をしており、ファンにとっても思い入れ がしやすいだろうとした。
また、ホンダ WTCCプロジェクトリーダーの堀内大資氏は「今年のクルマは車体もエンジンもアグレッシブに変わっている。特に昨年までのモデルはグリップが低いことを カバーするため、ピークパワーを犠牲にしてもドライバビリティがリニアに実現できるようなエンジンになっていたが、今年のモデルは若干ドライバビリティの リニアさに目をつぶってピークパワーが出るような設計になっている」と述べ、エンジンに関しても大幅に手を入れて勝ちを狙った設計にしているとした。
なお、タルクィーニ選手によれば、すでに横浜ゴムが供給するインチアップされた18インチ(昨年までは17インチ)の新型タイヤもす でに試したとのことで、「最終版をすでに試しているが、インチアップによるゲインがある程度で、昨年型と同じようなフィーリングでよいものに仕上がってい る」と述べ、横浜ゴムが導入する新型タイヤに関しても期待通りの出来であるとした。
2014年のWTCC 第1戦は、4月12日~13日にモロッコで行われる予定になっており、ホンダ勢は今年からモロッコ出身のドライバーを加えたことで、開幕戦から注目される 存在になりそうだ。WTCCには今年から、9年連続WRCチャンピオンのセバスチャン・ローブ選手、昨年のWTCCチャンピオンのイヴァン・ミューラー選 手の2人を擁するシトロエンもワークス参戦する予定になっており、ホンダ勢との熱い戦いが要注目となりそうだ。
新型ツインターボエンジンの開発が進むインディカー、佐藤琢磨選手はシリーズチャンピオンを目指す
北米のオープンホイールレーシングカーの最高峰となるインディカー・シリーズには、今年も米国ホンダの子会社であるHPD(ホンダ・ パフォーマンス・デベロップメント)によるエンジン供給という形で参戦。さらに昨シーズンに日本人として初めてインディカー・シリーズで優勝を果たした佐 藤琢磨選手が、昨年同様A.J.フォイト・レーシングより参戦する。
このほか2014年体制では供給チームが大きく入れ替わり、昨年ホンダエンジンでスコット・ディクソン選手がドライバーチャンピオン を獲得したチップ・ガナッシ・レーシングがライバルのシボレー勢に鞍替えし、その替わりに昨年までシボレー勢だったアンドレッティ・オートスポートがホン ダ陣営に加わる体制になっている。このアンドレッティとA.J.フォイトを含む7チーム10台にエンジンを供給する計画。また、2013年まではシングル ターボだったエンジンも、2014年からライバルのシボレーと同じツインターボに変更されて性能が改善すると見られており、戦闘力アップでライバルとなる シボレー勢と戦うことになる。
このツインターボへの仕様変更について佐藤琢磨選手は「ツインターボ化によりドライバビリティが改善される。シングルターボだと大き なタービンを回すまでのタイムラグがあるが、ツインターボであればタービンが小さいのでその時間が短くて済む。現在はさまざまな調整をしているところだ が、トルク特性はリニアに出ており、非常に乗りやすいエンジンに仕上がりつつある」と述べ、大いに効果があるとした。
また、現在の冬期テストでは2013年とは比較にならないほどクルマに乗る機会が与えられているとした佐藤選手だが、冬期テストでは すべての車両には新しいツインターボエンジンが間に合わず、各車がローテーションしてテストに臨んでいる現状を説明。「現在の冬のテストではホンダ勢はホ ンダ勢、シボレー勢はシボレー勢でテストしているのだが、A.J.(筆者注:A.J.フォイト氏のこと。インディー500で4回優勝したレジェンドドライ バーで、日本の野球で言えば長嶋茂雄氏のような存在)が“そんな実戦で使えないようなテストする意味なんてねぇ!”と言って、シングルターボが回ってくる テストには参加しないと決めちゃって(笑)。その替わりに、確実にツインターボが回ってくるシボレー勢のテストに出かけていってテストした(笑)。アメリ カってオープンなんでそれがあり。そこでチームで手動で計測したテストの結果を見る限りは、ガナッシやペンスキーなどシボレーの有力チームと比べても遜色 ないタイムで走れている」と、チームオーナーのユニークな言動で笑いを誘いながら、ツインターボの出来にはかなり期待してよいとした。
現在のテストでは「バージョン2」のエンジンで走っているとのことだが、最終的には開幕戦までにピークパワーが上がる「バージョン 3」に進化し、場合によっては「バージョン4」になる可能性もあるとした。なお、佐藤選手個人としては、昨シーズン後半はやや失速気味になったので、今年 はコンスタントに上位を走り、複数の勝利とシリーズチャンピオンを狙っていきたいと述べている。
このほか、ホンダのモータースポーツ活動とは関係ないものの、電気自動車によるレースシリーズとなるFormula Eへの取り組みについて聞かれた佐藤選手は「Formula Eがどのような状態になっているのか、正直僕にも分からない。モーターショーでテストドライバーへの就任を発表されてもらったが、そのあとでFIAによる 規約の変更が行われ、テストドライブをしたドライバーは本番のレースに出走できないことになった。ドライバーとしては、仮にレースドライバーのオファーが あったときに“テストをしたから出走できない”となるといけないので、それならテストドライブは避けたほうがいいとなり、Formula E Holdingsとのやりとりでもそうした話になっている。元々の予定では2月、3月にテストが行われるはずだったが、それは中止になった。間もなくイン ディカーのプログラムが始まる時期でもあるので、これからはインディカー・シリーズの方に集中していきたい」と述べ、テストドライバーへの就任や、ドライ バーの候補としてリスト入りしていたFormula Eだが、特に進展はないというのが現状だと説明した。
“目指すのはF1ドライバー”と目標が明確な伊沢拓也選手のGP2チャレンジ
2013年までスーパーフォーミュラとSUPER GTにホンダの契約ドライバーとして参戦していた伊沢拓也選手は、今年からGP2シリーズ(F1直下のフォーミュラカーレースで、欧州でF1と併催される 選手権)にART Grand Prixから参戦する。このこと自体はすでに明らかになっていたが、今回の発表では伊沢選手自身が記者会見で意気込みを語った。
伊沢選手は「自分はホンダの育成プログラムの一員として成長してきた。その中で頑張っていればいつかはこうしたチャンスが巡って来る と考えていたので、チャンスを頂けたことは嬉しい。このプロジェクトの先にあるものを考えると、責任は重大だし、プレッシャーも不安もありますが、全力を 傾けて成功させたいと考えている」と述べた。なお、ホンダのモータスポーツ部 部長の佐藤英夫氏によれば「伊沢選手の契約はホンダとARTの間での契約」という形になっているとのことで、ホンダのプログラムとして今回のGP2参戦が 実現したことを明らかにした。
ホンダによれば、今回のチャレンジはホンダの若手育成プログラムとなるHFDP(ホンダ フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)と、2015年からF1パワーユニットの供給先となるマクラーレンレーシングが展開しているヤングドライバーディ ベロップメントプログラムが協調して行われるプログラムで、日本の若手ドライバーにヨーロッパのレースシーン、ひいてはF1にステップアップできる機会を 用意しようという取り組みだ。今回、伊沢選手が所属するART Grand PrixはGP2のトップチームで、2005年にはニコ・ロズベルグ選手、2006年はルイス・ハミルトン選手、2009年にはニコ・ヒュルケンブルグ選 手が同チームでGP2チャンピオンになり、F1にステップアップしている。それらの選手のその後の活躍は読者のみなさんもよくご存じだろう。なお、チーム メイトになるのは、マクラーレンでリザーブドライバーを務めるストフェル・ヴァンドールン選手で、まずは同選手に勝つことが伊沢選手にとって最低限のミッ ションとなるだろう。
先週、フランスのパリから100kmの所にあるというARTのオフィスを訪れてすでにシート合わせを行ったという伊沢選手は、今シー ズンはチームの本拠地のあるフランスに居を構えてGP2シリーズを戦うことになる。F1ドライバーになれる自信があるのか問われた伊沢選手は「自信がなけ ればこのオファーを受けたりしない」と述べ、2015年のマクラーレンのシートや、2016年以降にホンダがカスタマーチームにエンジン供給することにな ればそこにもシートが出てくることになるので、その座を今年のチームメイトであるヴァンドールン選手と争うことになるだろう。まずは、日本のタイヤとは まったく異なるピレリタイヤの使い方を、3月にバーレーンとアブダビで行われる2回のテストで把握し、早期での優勝を狙うことになる。果たして、久々の日 本人ホンダF1ドライバーが誕生するのか、その観点で伊沢選手のGP2挑戦は要注目だ。
SUPER GTは新外国人選手と新人 野尻選手の加入で大幅に戦力強化
SUPER GTに関しては、2013年同様GT500クラスに5台、GT300クラスに2台を参戦させる。GT500クラスに関しては既報のとおり、車両、エンジン ともにレギュレーションが大きく変更されている。車両に関してはドイツのDTMと共通化した車両が導入され、エンジンはスーパーフォーミュラと同じ2.0 リッター直列4気筒の直噴ターボエンジンが導入される。
ホンダがGT500クラスに導入するのは、2015年にホンダが発売を計画しているNSXのベース車両を使ったNSX CONCEPT-GT。DTMの共通車両レギュレーションで規定されているのは本来はFR(フロントエンジン/リア駆動)レイアウトなのだが、このNSX CONCEPT-GTはGTAとほか2メーカーの特認を得て、市販車となるNSXと同じMR(ミッドシップエンジン/リア駆動)レイアウトになる。また、 エンジンに関してもGT300のCR-Z GTで採用しているシステムをベースに発展させた「レーシングハイブリッドシステム」を同様の特認を受けて搭載する。このため、開幕戦までにGTAから特 認車に対するBOP(性能調整)が行われる予定となっている。
ホンダのSUPER GTプロジェクトリーダー 松本雅彦氏によれば「現時点では性能調整に関しても何も決まっておらず、第1戦までに決定されると聞いている。MRとハイブリッド以外は共通部品を使うの で、有利になる部分もあるし、不利になる部分もある。例えば、ハイブリッドシステムを搭載する分で重量は増えることになり、その部分では不利になる」と述 べ、MRレイアウトにしたから、ハイブリッドシステムを搭載しているからといって必ずしも有利になるわけではないと述べた。このNSX CONCEPT-GTに対するBOPは非常に難しい問題になると考えられており、やり過ぎればホンダが一方的に不利になり、逆に足りなければホンダが独走 する可能性もある。その意味で、開幕戦までにGTAから発表されるであろうBOPには要注目だ。
●SUPER GT/GT500のラインナップ
マシン | チーム名 | カーナンバー | タイヤ | ドライバー |
---|---|---|---|---|
NSX CONCEPT-GT | オートバックス・レーシング・チーム・アグリ | 8 | ブリヂストン | ヴィタントニオ・リウッツィ |
松浦孝亮 | ||||
ケーヒン リアル レーシング | 17 | ブリヂストン | 塚越広大 | |
金石年弘 | ||||
ウィダー モデューロ 童夢レーシング | 18 | ミシュラン | 山本尚貴 | |
ジャン・カール・ベルネ | ||||
エプソン・ナカジマ・レーシング | 32 | ダンロップ | 中嶋大祐 | |
ベルトラン・バゲット | ||||
チームクニミツ | 100 | ブリヂストン | 小暮卓史 | |
武藤英紀 |
GT500クラスの参戦チームに関しては2013年同様の5チームで、チーム体制、タイヤメーカーは基本的に去シーズンと同様だ。しかし、ドライバー陣に関しては17号車ケーヒン リアル レーシングを除き、いずれもドライバーが1人ずつ入れ替わる新体制となった。
8号車オートバックス・レーシング・チーム・アグリ(ARTA)は最も注目を集める体制。昨年までのラルフ・ファーマン選手に替わっ て、F1でトロロッソ、フォースインディアなどから出走していたヴィタントニオ・リウッツィ選手が加入した。F1のシートを失ってからのリウッツィ選手は 世界耐久選手権(WEC)などを走っていたが、その実力は折り紙付きで、大型ドライバーの加入といえるだろう。
また、18号車ウィダー モデューロ 童夢レーシングは、昨年のフレデリック・マコビッキー選手に替えて同じくフランス人のジャン・カール・ベルネ選手が加入した。ベルネ選手はミシュランの ユーザーとして欧州での経験が長く、昨年のマコビッキー選手と同様の理由での起用となった模様だ。なお、本人によればジャン・カールは長いので「JKと呼 んで欲しい」とのことだ。サーキットで見かけたらぜひそのように声をかけるとよいだろう。
32号車エプソン・ナカジマ・レーシングに加入したのはベルトラン・バケット選手。2009年にルノー・ワールド・シリーズ(現 フォーミュラ・ルノー3.5。GP2と並ぶヨーロッパでF1直下と認識されているカテゴリー)のチャンピオンになった逸材で、これまではヨーロッパを中心 に活動してきたが、今シーズンは日本を中心に活動することになる。なお、2013年まで同チームからレース参戦していた2000年のSUPER GTチャンピオンでもある道上龍氏は、今年はGT300クラスで0号車チーム 無限のエグゼクティブアドバイザーに就任することになった。
最後に100号車チームクニミツは、2013年まで小暮卓史選手とコンビを組んでいた伊沢拓也選手がGP2に参戦するためヨーロッパ に拠点を移したため、今年は昨シーズンにチーム無限でGT300クラスを戦い、チャンピオンを獲得した武藤英紀選手が同チームから2011年以来となる GT500クラス復帰を果たすことになった。
●SUPER GT/GT300のラインナップ
マシン | チーム名 | カーナンバー | タイヤ | ドライバー |
---|---|---|---|---|
CR-Z GT | チーム 無限 | 0 | ブリヂストン | 中山友貴 |
野尻智紀 | ||||
オートバックス・レーシング・チーム・アグリ | 55 | ブリヂストン | 高木真一 | |
小林崇志 |
GT300クラスに関しても、2013年同様の2チームがハイブリッドレーシングカーのCR-Z GTを走らせる。昨シーズンのチャンピオンチームとなった0号車チーム 無限は武藤英紀選手がGT500クラスに移ったため、残留した中山友貴選手のチームメイトを、2013年まで全日本F3選手権に参戦していた野尻智紀選手 が務めることになった。なお、同チームのエグゼクティブアドバイザーに就任した道上龍氏は、新人の野尻選手に対してドライビングのアドバイスを与えると いった立場で活躍するとのことだ。55号車ARTAに関しては、2013年同様の高木真一選手/小林崇志選手の体制が継続される。
新型の車両とエンジンになるスーパーフォーミュラにもリウッツィ選手が加入
スーパーフォーミュラには、やはり2013年同様に4チーム8台にエンジン供給する体制を整える。2014年のスーパーフォーミュラ はダラーラ製の新型車両「SF14」が導入され、エンジンもSUPER GTと共通の2.0リッター直列4気筒 直噴ターボエンジンとなる「HR-414E」が導入される。
●スーパーフォーミュラのラインアップ
マシン | チーム名 | カーナンバー | ドライバー |
---|---|---|---|
SF14/HR-414E | チーム無限 | 1 | 山本尚貴 |
2 | 中山友貴 | ||
HPリアル レーシング | 10 | 塚越広大 | |
11 | ヴィタントニオ・リウッツィ | ||
ナカジマ レーシング | 31 | 中嶋大祐 | |
32 | 小暮卓史 | ||
ドコモ チーム ダンディライアン ラー0シング | 40 | 野尻智紀 | |
41 | 武藤英紀 |
ドライバー体制にも変更があり、昨シーズンに念願のシリーズチャンピオンを獲得した無限の山本尚貴選手、リアルの塚越広大選手、ナカ ジマの中嶋大祐選手と小暮卓史選手、ダンディライアンの武藤英紀選手は残留となったが、チームを移籍した選手1人、新規参戦の選手2人がいる。まずチーム を移籍したのが、リアルから無限に移籍した中山友貴選手。2013年から初めてスーパーフォーミュラにフル参戦し、今年は2年目のシーズンとなる。チャン ピオンチームである無限に移籍して、結果が求められるシーズンとなる。新規参戦となるのは、リアルで塚越選手のチームメイトとなるヴィタントニオ・リウッ ツィ選手、ダンディライアンで武藤選手のチームメイトとなる野尻智紀選手となる。特にF1経験まであるリウッツィ選手がスーパーフォーミュラに参戦するの は大きなニュースで、ヨーロッパでの実績もあるリウッツィ選手に勝つことは、日本人選手にとっては伊沢選手に続いてホンダの日本人F1ドライバー候補とし てアピールする大きな意味があるだろう。特にチームメイトとなる塚越選手にはそれが大きなテーマになるはずだ。
このほかにホンダは、4輪で全日本F3選手権にHFDPレーシングから松下信治選手と高橋翼選手、戸田レーシングから清原章太選手を 走らせるほか、F4に参戦する育成ドライバーの支援、「1.5チャレンジカップ」「Fit .5チャレンジカップ」「N-ONE オーナーズカップ」などのワンメイクレース開催も手がけ、トップカテゴリーだけでなく草の根のモータースポーツにも積極的に取り組んでいくと説明した。
URL
- 本田技研工業株式会社
- http://www.honda.co.jp/
- 2014年Hondaモータースポーツ活動の概要
- http://www.honda.co.jp/Racing/news2014/02/
- ニュースリリース
- http://www.honda.co.jp/news/2014/c140207.html
リサーチ:テック サイバーファーム ウェア(半田貞治郎)