【鈴鹿8耐】ヤマハファクトリー、必勝体制でつかんだ19年ぶりの勝利 |
今年で38回目を迎えた2015“コカ・コーラ ゼロ鈴鹿8時間耐久ロードレースはNo.21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM(ヤマハ)が204周で優勝し、幕を下ろした。
気温35度、路面温度60度を超える灼熱のコンディションの中でスタートした2015鈴鹿8耐。序盤からホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4メーカーが入り乱れる大混戦の展開となった。
1時間を経過しNo.634 MuSASHi RT HARC PROがトップに浮上。高橋巧からケーシー・ストーナーにバトンが渡り、どんな走りを見せてくれるか期待が集まったが32周目のヘアピン手前で激しく転倒。バイクも激しく壊れ、No.634 HARC PROの3連覇の夢が潰えてしまった。またストーナーはメディカルセンターに運ばれ右肩甲骨と左脛骨を骨折との診断を受けた。
2時間を経過しヤマハがレースの主導権を握る。中須賀克行から始まったリレーは現役MotoGPライダーのブラッドリー・スミス、ポル・エスパルガロにつながっていき、それぞれのパートで常に2分10秒台を切るハイペースで周回。ライバルとの差を少しずつ広げていった。
一方追いかける立場だったNo.12 ヨシムラ・スズキ・シェル・アドバンス、No.17 TEAM KAGAYAMAは相次いで転倒し後退。No.778 F.C.C. TSR Hondaも度重なるセーフティカーでタイミングが合わず、少しずつタイムロスしていってしまう。
折り返しを過ぎ5時間を迎えようとしたところで、トップを快走していたヤマハにも不運が。黄旗無視をしたとして30秒のペナルティストップが科せられてしまう。これでNo.778 TSRに逆転を許してしまうが、スミスが驚異的なペースで追い上げすぐに再逆転。その後はエスパルガロ、中須賀ともに快調に周回。懸念されていた燃費面では、最終的に1回多く給油が必要となるが3人の好ペースでピットストップ時間を稼ぎ、残り30分で中須賀からスミスへバトンタッチ。昨日トップ10トライアルで走れなかった分、アンカーという最高の大役を任されたが、最後までアグレッシブに攻め続け、204周でチェッカーを受けた。
ヤマハにとっては1996年以来19年ぶりの勝利。初出場だったエスパルガロとスミスはもちろん、実は全日本ロードレース選手権3連覇中の中須賀にとっても初の鈴鹿8耐制覇となった。
パルクフェルメへ向かうピットロードで3人が再会すると喜びを爆発。ヤマハが威信をかけて新投入した新型『YZF-R1』のサウンドを何度も響かせていた。
2位にはNo.778 F.C.C. TSR Honda(ジョシュ・フック/カイル・スミス/ドミニク・エガーター)が入った。今年ライダー体制を一新し若い外国人ライダーを3人招集。決勝はフックとエガーターが交互に乗り強豪ヤマハファクトリーに挑んだ。結果的に2位と及ばなかったものの、2人とも一歩も引かない走りを披露。全日本ロードレース選手権で戦うフックは開幕戦の時よりも明らかに成長した姿が感じられ、エガーターも2年連続での表彰台獲得。新生TSRが3年ぶりにポディウムに帰ってきた。
3位には今年もドリームチームで臨んだNo.17 TEAM KAGAYAMA(加賀山就臣/芳賀紀行/清成龍一)。特に今回は2年ぶりに鈴鹿8耐に帰ってきた清成が予選、決勝ともに大活躍。間違いなくチームの戦闘力向上に貢献した。途中、加賀山の転倒が痛手となったが、着実に順位を挽回。最後に芳賀がアンカーを務めチームとしては3年連続で表彰台を獲得した。
今年は各メーカーが例年以上に力を入れた大会だったこと、その対決をヤマハが制したこともあってか、表彰式では開放されたメインストレートに多くファンが殺到。ヤマハコールに包まれた。そして、23日から始まった2015鈴鹿8耐を締めくくる花火が打ち上げられ、今年も大盛況のうちに夏の鈴鹿の祭典が幕を閉じた
リサーチ:テック サイバーファーム ウェア 半田貞治郎