実車の86の走りをGT6で再現!? データロガーを体験! |
豪華講師陣にドライビングを教わる
自分の走りは果たしてどうなのか!?
4月15日、富士スピードウェイで行なわれた「GAZOO Racing スポーツドライビングレッスン」にお邪魔してきました。
このレッスン、本格的にサーキット走行を学んで、将来的には「GAZOO Racing 86/BRZ Race」に出ちゃいましょうという内容の濃いもの。
講師陣も日本人初のル・マンウィナーである関谷正徳さんを筆頭に、グループC時代からトップカテゴリーのレースに参加し続ける影山正彦選手、今年から SUPER GTでスバルBRZ GTに乗る井口卓人選手、昨年はGAZOO Racing 86/BRZ Raceに痛車で出場して勝ち星を挙げた蒲生尚弥選手と超豪華!
関谷正徳さん | 影山正彦選手 |
井口卓人選手 | 蒲生尚弥選手 |
関谷正徳さんを除く3名の方々は、今年度のスーパー耐久シリーズでGAZOO Racing SPIRITチームからGAZOO Racing TOYOTA 86で参戦している、まさに「86使い」なのです。
スーパー耐久のGAZOO Racing TOYOTA 86 |
そんな講師陣に教わるという本格的なドライビングレッスンの会場に、なぜか鎮座するグランツーリスモ6(GT6)の筐体。レカロシートで3面モニターとかなり本格的です。これは何かといえば、今回のドライビングレッスンの教材として使われる重要なものなのです。
暇なときに遊ぶためのものではありません |
トヨタテクノクラフトが4月に新発売したトヨタ86用「TRDスポーツドライブロガー」は、専用GPSからの位置情報とCANと呼ばれる車両内部のコンピュータ同士のデジタル通信情報を内部メモリーに記憶した後、USBに転送が可能です。
転送情報にはGPS信号、アクセルペダルストローク、ステアリング舵角、ブレーキ操作信号、シフト操作信号、エンジン回転数、車速などの走行データが含 まれており、対応アプリケーションで利用ができます。この「TRDスポーツドライブロガー」対応アプリケーションの第1弾がGT6で、4月2日のアップ デートからこのロガーデータ読み込めるようになっています。ちなみに「TRDスポーツドライブロガー」の価格は8万6000円(税別)。
ロガーデータの読み方を解説するポリフォニー・デジタル 竹薮さん |
つまり、ここにあるGT6の筐体はレッスン参加者のロガーデータをもとに、講師の走りとどこがどう違うのかということを目で見て確認できるようにするものだったのです。これは画期的ですね!
実際に走って自分の走りをチェック!
早速、筆者も実際に走ってドライブロガーのデータを採取することにします。気合を入れてレーシングスーツなんぞを着込みましたが、実はレーシングシューズを忘れてきてしまいスニーカーでのドライブです。
筆者も走ってロガーデータを採取 | 「TRDスポーツドライブロガー」装着の6段AT仕様に乗車 |
ログを採るときはコンソールに設置した8の字マークのボタンを押す | グローブボックス内のUSBコネクターにメモリーを差すとデータが書き出しされる |
GPSアンテナはカーナビとの干渉を避けるために別に設置する |
富士の国際レーシングコースを走るのが久しぶりすぎで、なおかついきなり計測ラップ! せめて完熟走行を10周くらいさせてもらいたかった。という言い訳を前置きにしてコースイン。
ピットアウトでホワイトラインカットなんてドラテク以前の問題だぜ! なんてことを思いながらいきなり立ちはだかる1コーナー。ぐわーっ、曲がりながら下る!
そこからコカコーラコーナーへ向かう下りでミラーに写る白い影。
その白い影は、講師陣が同乗走行をしている86/BRZ Raceマシン。と思ったらいきなりインから抜いてったぁ! は……、速いっ。
講師陣だけではなく、レッスン参加者のレベルも違いすぎ。皆さん、マジで速い(筆者比)。次から次へと抜かれていくので、ミラーばかりが気になってしま い、シフトアップを忘れてレブを当てちゃうし、300Rで軽く外に出ちゃうしで散々なロガーデータになったと思われます。
計測ラップも終わってピットに戻ろうとするラップのダンロップコーナーで、またもや講師陣の同乗走行に抜かれたぁ! 3周で2回も抜かれるとは情けなさすぎる。
筆者の情けないロガーデータの比較用に、プロの講師陣のデータもいただけるということで、影山選手のロガーデータを指名したところ、同乗走行でのデータ 採取となりました。アウトラップから計測を含め3周の同乗を体験させていただきましたが、もう異次元です。筆者の感覚では、これはドリフトなのではない か? というくらいの攻めっぷり。しかし、前方にレッスン参加者のクルマがいれば修正しながら華麗に抜いていく。やっぱりグリップしているんだ、と気づか される場面です。
それはもう、とんでもない向きでコーナーリングし、ラジアルタイヤとは思えないほどの横Gを体験しましたが、不思議と怖いとは思わない。むしろ自分で運転しているほうがよっぽど怖いくらい。さすがプロレーサーは違います。
あまりの感動に、思わず握手までしてもらいました |
ロガーデータは真実の鏡
絶対にウソはつけません
素晴らしい同乗体験をさせてもらった後は編集部に戻りロガーデータの検証に入ります。
ロガーデータの入ったUSBメモリーをPS3に差込みローディング。すると、まず自分の走ったリプレイ動画が始まります。今回はこのリプレイ動画を見るのがとてもツライ。
300Rのコースアウトやダンロップコーナーで縁石にタイヤをはじかれた様子までバッチリと再現されています。ただ、いくら見るのがツラくてもロガー データのグラフ表示をするためには、このリプレイをすべて再生し、「ベストラップ保存」をする必要があるので仕方ありません。富士スピードウェイのスポー ツ走行枠をフルに走ったとしたら20分間のリプレイ再生が必要となるわけです。
やっと見ることが出来たロガーデータのグラフ。青線が影山選手、ピンク線が筆者。だめだぁ、と頭を抱える前にグラフをよく見てみると、色々と面白い事実 が浮き彫りになります。簡単に言えば影山選手はアクセルもブレーキもメリハリがあって強い力での操作しています。これは、どこでどうすればいいかを熟知し ていて、そのタイミングですべての操作を行なっていることがわかります。
それに引き換え筆者はすべてにメリハリが無く、ダラダラとブレーキを踏んで、おっかなびっくりアクセルを踏んでいる。もう言い訳の余地が無いくらい数値 が物語っています。その上、筆者がヘアピンを曲がる頃に影山選手は1kmほど先のプリウスコーナーを立ち上がって最終コーナーに入ろうかというところ。そ んなところの数値まで表示されるのです。
このデータの中で筆者が特に注目したいのはGデータ。前後左右のGのかかり方を可視化したものです。影山選手と筆者の比較で、明らかに影山選手は横Gが 高い値。このグラフの横軸の範囲まではタイヤが使えるということなのでしょうが、筆者はそのタイヤをまったく有効利用していないのが一目瞭然。データはウ ソをつきません。
この「TRDスポーツドライブロガー」とGT6があれば、サーキット走行が楽しくなることは間違いないでしょう。対応サーキットは現在のところ富士ス ピードウェイ、鈴鹿サーキット、筑波サーキットの3ヵ所。徐々に対応サーキットを増やしていくということなので期待が膨らみます。できたらツインリンクも てぎと袖ヶ浦フォレストレースウェイも対応して欲しいところです。